腰痛のキーポイント! それが腸腰筋!
こんにちは。
浜松・磐田市の腰痛、膝痛専門「接骨院RISE(ライズ)」です。
前回から、腰椎に関する筋肉についてお話ししていきます。
本日は、腰椎の前面部分の「腸腰筋」についてです。
腸腰筋は、大腰筋と腸骨筋に分けられます。
大腰筋は腰椎から大腿骨まで及ぶ筋肉で、腰椎や股関節に与える影響は大きい筋肉です。
最近では、
「大腰筋ダイエット」
なんていうダイエットもあるようですね!!!
腸腰筋
腸腰筋は全腰椎横突起全面、椎体側面、第12胸椎~全腰椎間の椎間板を起始としています。
腸腰筋の作用は、股関節屈曲です。
近位付着部(骨盤を固定)は固定されているときに、大腿(下肢)が胸部方向へ働くことで股関節が屈曲します。
遠位付着部(脚の部分を固定)が固定されているときは、脊椎と骨盤が前方へ動くことによって股関節が屈曲する。
大腰筋の付着部では、腰椎屈曲の主働筋として作用する十分な作用があるとは考えられにくいとされています。
直立姿勢では大腰筋が、上部腰椎に対し伸展モーメントを、下部腰椎に対し屈曲モーメントを発揮しています。
これらのモーメントは脊柱伸展位で強調され、屈曲位では腰椎すべてのモーメントは屈曲方向へと転じる傾向があります。
腸腰筋の最も主な役割は、
腰椎の前方への剪断力と圧迫力です。
Santaguiaの研究では、大腰筋は側屈に働き、その圧迫作用により、腰椎を固定する、と述べています。
Jukerらによる各種エクササイズ中の腸腰筋と腹筋の筋電図の研究では、腰部機能不全患者のプログラムを構築するためのポイントを以下のように述べています。
①腸腰筋は股・膝関節伸展位での起き上がりエクササイズと同様に、股・膝関節屈曲位エクサイズでも強く働く。
②大腰筋はプッシュアップエクササイズのときに活動するが、腹筋群の活動は最小である。
③腹直筋はアールアップエクササイズのとき、腹斜筋よりも強く働く。
④クロスカール(クランチにツイストを加えた腹斜筋エクササイズ)は、カールアップエクササイズに対して腹斜筋の活動をわずかに増加させるが、顕著な増加は期待できない。
この研究結果は、圧迫と前方剪断力が腰痛患者の痛みの原因である場合、エクササイズにて腸腰筋の働きを最小限にする必要があること示しています。
腸腰筋の最も主な役割は、腰椎の前方への剪断力と圧迫力だからです。
伸展が痛みの原因となっている場合も同様に、圧迫と前方剪断力を最小限に抑える必要があります。
腸腰筋が収縮する際には、腹筋群の腹横筋が先に収縮して骨盤と腰椎を安定させることが必要です。
また、患者様の日常生活活動も修正する必要があります。
指導ポイントは、
①背臥位で(仰向け)下肢を滑らすときは、ベッド上に足部を押し付けて行う
②下肢を持ち上げることなく起き上がる(脚を持ち上げる時に腰椎に剪断力が強く働く)
③側臥位(横向きで寝た状態)になるときは、手を使って股関節を他動的に屈曲して行う
④車に乗るときは、手を使って下肢を持ち上げる
⑤どのようなエクササイズも股関節屈筋を活動させることは避けるべきである。
背臥位を取る際に、股・膝関節屈曲位でサポートすると楽です。
この肢位は、腸腰筋から生み出される圧迫と剪断力が減少し、症状が緩和するからです。
腸腰筋の筋活動は、神経緊張検査に用いられる膝伸展位下肢拳上テスト(SLR:Straight Leg Raise Test)にも影響を与えます。
この検査は、背臥位で膝を伸ばした状態で足を拳上した時にしびれが出現した時に、ヘルニア症状陽性という検査法です。
この緊張検査が、股関節屈筋群の収縮によって陽性となっている場合があります。
患者様に完全にリラックスしてもらい、施術者が下肢の重さをサポートすると、ヘルニア兆候が軽減するのです。
この場合、腰椎の前方剪弾力や圧迫によって生じており、神経の真の絞扼はないということを意味しています。
腸腰筋の収縮による症状は、四つ這い位で後方(踵の方向)に身体を移動させる(揺さぶる動き)によっても引き起こされます。
しかし、股関節屈筋群よりも手の力を使って後方へ揺さぶると、症状は軽減します。
運動の起こしかたを変えるだけで、症状が軽減したり、消失したりすることがあるのです。
まとめますと、腸腰筋で生じるストレスはたとえ小さな筋活動であっても、腰部機能不全患者の症状に関与します。
施術者が腸腰筋の活動や伸長が、患者様の症状をどのように変化させるかを慎重に検査する必要があります。
参考文献
「運動機能障害症候群のマネージメント」
Shirley A . Sahrmann 著